著:村上春樹
文藝春秋
<アートの本棚>
村上春樹さんの小説作品にはクラシックのレコードが小道具的によく登場します。例えば『国境の南 太陽の西』では、小学生時代の主人公が初恋の女性の家でリストのピアノ協奏曲のレコードを、丁寧に扱いながら聴く場面が印象的です。また『ノルウェイの森』ではレイコさんが、バックハウスの弾くブラームスのピアノ協奏曲第2番を繰り返し聴いて「本当に擦り切れてしまった」と語っています。そんなクラシックオタク村上さんによるレコード評が本書。とはいえ、難しい内容は皆無。村上さんらしい肩の力が抜けた文章は、クラシック音楽を知らずとも十分に楽しめると思います。
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